こんにちは。パワーツールラボ運営者の「TAKA」です。
ダイソンの掃除機を使っていると、いつかは必ずやってくるバッテリー交換の時期。でも、いざ交換しようとすると「自分の機種はどのタイプなのかわからない」「ネジが固くて回らない」「買ったバッテリーが合わなかった」というトラブルに直面する方が非常に多いです。
実はダイソンのバッテリー交換は、見た目だけで判断すると失敗する可能性が高いことをご存知でしょうか。V8やV11などシリーズ名が同じでも、製造時期によって構造が全く違うことがあるからです。特にV8の前期・後期問題や、V11のネジ式・ボタン式の混在は、多くのユーザーを悩ませる「初見殺し」の罠といっても過言ではありません。
この記事では、私が実際に多くのダイソン製品を分解・修理してきた経験をもとに、間違いのない機種の判別方法から、ネジをなめずに安全に外すための具体的な手順までを徹底的に解説します。単なる手順書ではなく、プロの視点から「なぜそこで失敗するのか」という原因と対策も併せてお伝えします。
- 型番(SV番号)で判別する正しいバッテリー固定方式
- ネジを潰さないための正しい ドライバー(ポジドライブ)の選び方
- 機種ごとの具体的なバッテリーの外し方と交換手順
- 外したバッテリーの正しい捨て方と安全な絶縁処理
ダイソンバッテリーの外し方・交換手順【全機種の一覧表】

ダイソンの掃除機には、大きく分けて「ネジで固定されているタイプ(要工具)」と「ボタンひとつで外せるタイプ(カセット式)」の2種類が存在します。
同じV11でも前期型はネジ式、後期型はボタン式といったように、製造ロットで仕様が変更されているためです。まずは以下のチャートと一覧表で、あなたがお持ちの機種がどのタイプなのかを確実に特定しましょう。
あなたの機種はどれ?型番と外し方の確認チャート
手元の掃除機を確認しながら、以下の流れでチェックしてみてください。これで間違ったバッテリーを買ってしまうリスクをゼロにできます。特に注目すべきは「赤いボタン」と「SV型番」です。
ハンドルの付け根(バッテリー上部)に大きな赤い着脱ボタンがあれば、工具不要の「ボタン脱着式(Click-in)」です。このタイプはSV15以降のモデルに採用されています。
ボタンがない場合、ゴミ捨てのレバーを確認します。
・下蓋だけパカっと開く(V6以前)
・サイクロン全体が持ち上がる/スライドする(V7以降)
最終的な判断基準はバッテリーの裏側にあるシールです。「SV〜」から始まる型番が決定的な証拠となります。
以下に、主要なモデルの固定方式とネジの本数をまとめました。スマホの方は横にスクロールしてご覧ください。
| シリーズ名 | 型番 (SV) | 固定方式 | ネジ本数 |
|---|---|---|---|
| V6 / DC61,62,74 | SV07, SV08, SV09 | ネジ固定 | 2本 |
| V7 | SV11 | ネジ固定 | 3本 |
| V8 / V8 Slim | SV10, SV10K | ネジ固定 | 3本 |
| V10 | SV12 | ネジ固定 | 3本 |
| V11 (前期) | SV14 | ネジ固定 | 3本 |
| V11 (後期) | SV15 | ボタン脱着 | 0本 |
| Digital Slim | SV18 | ボタン脱着 | 0本 |
| V12 / V12 Detect | SV20, SV30 | ボタン脱着 | 0本 |
| Micro 1.5kg | SV21 | ネジ固定 | 2本 |
最新の軽量モデルですが、こちらは軽量化とコンパクトさを追求した結果、再び「ネジ固定式」に戻っています。ボタン式だと思い込んで無理に引っ張ると破損の原因になりますので注意してください。
必要な道具は「プラスドライバー」だけでは危険?
「家にプラスドライバーがあるから大丈夫」と思っていませんか?実はそれが、掃除機を壊してしまう最大の原因なんです。ここを甘く見ると、バッテリー交換どころか修理が必要になる事態を招きます。
ダイソンはイギリスのメーカーなので、ネジの規格が日本で一般的な「プラス(フィリップス)」ではなく、ヨーロッパで主流の「ポジドライブ(Pozidriv)」という規格が採用されています。
この違いは肉眼では分かりにくいですが、ドライバーの先端構造において決定的な差があります。
上の図のように、ポジドライブ(PZ)には十字の間に細い溝(ガセット)が入っており、専用のドライバーを使うことで強力なトルク(回転力)を伝えることができます。一方、日本のプラスドライバー(PH)は、この溝に対応していないため、接触面積が小さくなります。
もちろん、プラスドライバーでも物理的に回すことは可能です。しかし、ダイソンのネジは非常に硬く締め付けられていることが多く、サイズの合わないプラスドライバーで力を込めると、「カムアウト」と呼ばれる現象が起きます。
- ドライバー規格:ポジドライブの「PZ1」サイズ
- 軸の長さ:75mm以上(※特にV10ユーザーは必須)
V10などはネジ穴が非常に深いため、ビット交換式のような軸が太くて短いドライバーでは届きません。数百円で買える保険だと思って、PZ1ドライバー(ベッセル製などがホームセンターで入手可能です)を用意することを強くおすすめします。
【機種別】ダイソン掃除機のバッテリー外し方を解説

機種と道具の準備ができたら、実際に取り外していきましょう。ダイソンは精密機器ですので、正しい手順で行わないとプラスチック部品が割れてしまうリスクがあります。ここでは間違いやすいポイントに絞って解説します。
機種ごとのポイントをチェック!
V6・DC62・DC74の外し方(ネジ2本)
旧型のモデル(SV07〜SV09)は、ネジが2箇所にあります。構造自体はシンプルですが、長年の使用で汚れが蓄積していることが多い機種です。
持ち手の後ろ側(手の甲が当たるところ)に1本あります。ここは比較的緩めやすい場所です。
バッテリーの底、クリアビンとの境界付近に1本あります。クリアビンを外してから作業するとアクセスしやすくなります。
この2本を外してから、バッテリーを真下に引き抜きます。もしネジを外してもバッテリーが抜けない場合は、本体とバッテリーの隙間に微細なチリが固まって接着剤のようになっている可能性があります。
V7・V8(SV10)の外し方(ネジ3本)
現在もっともユーザーが多いV7・V8シリーズですが、V6から構造が変わり、ネジが合計3本に増えています。この「増えた1本」が見落としの定番スポットです。
持ち手の後ろ側に1本。まずはここを外します。
バッテリーの底面をご確認ください。前後に配置される形で2本のネジがあります。
「底面のネジは1本だ」と思い込んで、手前の1本だけ外して奥の1本に気づかず、無理やり引っ張って本体を白化(プラスチックにストレスがかかって白くなる現象)させてしまうケースが後を絶ちません。必ず「合計3本」外したことを確認してから、バッテリーを引き抜いてください。
【重要】V8ユーザーは注意!「前期・後期」の見分け方
ここでV8(SV10)をお使いの方に、非常に重要な注意点があります。
実はV8シリーズには、製造時期によって「前期型」と「後期型」の2種類のバッテリーが存在し、これらに互換性は全くありません。
見た目はそっくりですが、バッテリー上部の接続コネクタ付近にある「リブ(プラスチックの突起)」の形状や位置が微妙に異なります。前期型の本体に後期型のバッテリーを挿そうとしても、物理的にリブが干渉して奥まで刺さらない設計になっています。
- 前期型:シリアルや型番を確認(例:SV10Dなど)。接続部の切り欠き形状が異なります。
- 後期型:シリアルや型番を確認(例:SV10Eなど)。
ネットショップの写真だけで判断するのは困難です。一番確実なのは、今のバッテリーを一度外して接続部の形をしっかりと見比べるか、ダイソン公式サイトで製造番号(シリアルナンバー)を入力して確認することです。「V8用ならなんでもいい」という安易な購入は、返品送料の無駄になりますのでご注意を!
V10(SV12)の外し方(ネジ3本+スライド)
V10は、ゴミ捨て機構が縦型(インライン)になったことで、バッテリーの外し方も特殊になっています。ここは「ネジの深さ」と「外し方の方向」がポイントです。
グリップの後ろに1本あります。このネジ穴が非常に深く、グリップの出っ張りが邪魔をするため、軸長75mm未満の短いドライバーでは届きません。
バッテリー前方の底面に2本あります。
ここが最大の違いです。他のモデルのように「下へ引き抜く」のではなく、「斜め前方のガイドレールに沿ってスライドさせる」動きが必要です。
V10のレールは噛み合わせが硬いことが多く、「壊れるんじゃないか?」と思うくらい力がいる場合がありますが、3本のネジが完全に外れていれば、思い切ってスライドさせて大丈夫です。固着している場合は、手のひらで底面をドンと叩くようにして衝撃を与えると外れやすくなります。
V11・V12・Micro 1.5kgの外し方(ボタン脱着式)
SV15(V11後期)以降のモデルは、赤いボタンを押すだけでカシャッと外れます。これは説明不要なくらい簡単ですね。
Microのネジは非常に小さいので、作業中に紛失しないようトレーなどに入れて管理しましょう。
ネジが固くて外れない!なめた時の対処法【実体験】

「ドライバーが滑ってネジ山が潰れてしまった(なめた)」「ビクともしないくらい固い」
これはDIYでのバッテリー交換で最も起きやすいトラブルです。ダイソンのネジにはネジロック剤(緩み止め)が塗布されていることがあり、初期状態では非常に硬いです。
焦って力任せに回すと完全にネジ穴が円形になり、プロでもお手上げ状態になってしまいます。私が実際に試して効果があった方法を共有します。
実際にネジが回らなくなった時に試した3つの方法
実際にネジが回らなくなった時に試した3つの方法
軽度の「なめ」ならこれで回ります。幅の広い輪ゴムをネジ頭の上に置き、その上からドライバーを強く押し付けながらゆっくり回します。ゴムがネジの潰れた隙間を埋めて摩擦力を高めてくれます。コスト0円で試せるので、まずはこれをやってみてください。
ホームセンターで売っている「ネジの滑り止め液(砂鉄のようなザラザラした粒子が入った液体)」をネジ頭に一滴垂らすと、ドライバーの食いつきが劇的に良くなります。数百円で購入できるので、一つ持っておくと便利です。
ペンチの先端でネジ頭を掴んで回す「ネジザウルス(エンジニア社製)」という工具が有名ですが、V10などの「深い穴にあるネジ」には届かないため使えません。バッテリー底面のネジなど、ネジ頭が露出している箇所なら最強のツールですが、グリップ裏の埋まりネジには無力ですので注意してください。
固いからといって、KURE 5-56などの一般的な石油系溶剤を含む潤滑スプレーを吹きかけるのは避けてください。ダイソンのABS樹脂などのプラスチックを劣化させ、ケミカルクラック(薬品による割れ)を引き起こす原因になります。どうしても潤滑剤を使う場合は、プラスチックを侵さない「シリコンスプレー」を使用してください。
外した後は?おすすめの交換用バッテリー【純正vs互換品】

無事にバッテリーを外せたら、次は新しいバッテリーの取り付けですね。ここで誰もが迷うのが「高価な純正品を買うか、安価な互換品で済ませるか」という問題です。
結論から言うと、それぞれに明確なメリット・デメリットがあります。ご自身の状況に合わせて選べるよう、比較表を作成しました。
純正品と互換品、結局どっちがいいの?
| 項目 | 純正バッテリー | 互換バッテリー |
|---|---|---|
| 価格 | 高い (8,800円〜13,000円) | 安い (3,000円〜6,000円) |
| 安全性 | ◎ 最高水準 (発火リスク極小) | △ ピンキリ (粗悪品は発火事故あり) |
| 保証 | メーカー保証2年 (本体保証も継続) | 販売店保証のみ (本体保証は対象外になる) |
| 捨てやすさ | ◎ 簡単 (家電量販店で回収OK) | × 困難 (回収拒否されること多し) |
私の結論としては以下の通りです。
- 純正品がおすすめな人:購入から2年以内の人、小さな子供やペットがいて安全性を最優先したい人、処分の手間をかけたくない人。
- 互換品でも良い人:もうメーカー保証が切れている人、本体が古く「あと1〜2年持てばいい」と割り切れる人、自分でリスク管理ができる人。
コスパで選ぶならこれ!信頼できる互換バッテリー
「純正は高すぎるけど、怪しい中華製で火事になるのは怖い…」という方には、日本メーカーが企画・販売している高品質な互換バッテリーをおすすめします。
日本の会社が責任を持ってサポートしており、万が一のPL保険(生産物賠償責任保険)にも加入しているため、Amazonにある販売元が不明瞭なバッテリーとは安心感が違います。過充電防止機能や温度管理センサーなど、純正品に近い安全回路を搭載している点が評価できます。
詳しくは、実際に私が様々なバッテリーを比較検証したこちらの記事も参考にしてみてください。「どのくらい持つのか?」を徹底テストしています。
ダイソン掃除機バッテリー寿命のサインは?交換時期や費用を解説
安心感で選ぶなら純正一択!購入できる場所
「やっぱり安心を買いたい」という方は、ダイソン公式サイトからの購入が最も確実です。稀に在庫切れの場合がありますが、最近は供給も安定しています。
要注意!古いダイソンバッテリーの捨て方と廃棄場所

実は、バッテリー交換で一番大変なのは「古いバッテリーの処分」かもしれません。リチウムイオン電池は発火の危険があるため、燃えないゴミとして捨てることは法律で厳しく禁止されています。
過去にはゴミ収集車の火災事故も多発しており、消費者庁からも度々注意喚起が出ています。
ヤマダ電機やケーズデンキで回収してもらえる?
ここが重要なポイントです。家電量販店にある「小型充電式電池リサイクルBOX」に入れて良いのは、JBRC加盟企業のバッテリー(つまり純正品)だけです。
多くの海外製互換バッテリーはJBRCに加盟していません。そのため、家電量販店に持っていっても「これは回収できません」と断られるケースが多発しています。
互換品メーカーが自主回収を行っていない場合、捨てる場所がありません。その際は、お住まいの自治体の「有害ごみ」の指示に従うか、有料の不用品回収業者に依頼する必要があります。「安く買える代わりに、捨てる時は苦労するかもしれない」というリスクを覚悟しておく必要があります。
絶縁処理を忘れずに(発火防止)
廃棄する際(または一時保管する際)は、必ず金属端子部分をテープで塞いでください。他の金属と触れてショート(短絡)すると、高熱を発し、最悪の場合は爆発的に発火する恐れがあります。
このように、ビニールテープやセロハンテープで金属部分が見えないように貼るだけでOKです。
これはマナーではなく、環境省も推奨している安全義務ですので、徹底しましょう。
ダイソンバッテリー外し方に関するよくある質問(Q&A)
最後に、バッテリー交換にまつわるよくあるトラブルと解決策をまとめました。
- バッテリーを交換しても動きません。なぜ?
バッテリー以外の原因(フィルター詰まりやトリガー故障)の可能性があります。特にV10やV11では、トリガー(赤いスイッチ)の内部パーツが折れてスイッチが入らなくなる故障が多発しています。この場合、バッテリーを変えても直りません。まずはフィルターを水洗いして乾燥させ、それでもダメならサポートに相談しましょう。
- ランプが赤点滅や青点滅しています。どういう意味?
LEDランプは掃除機からのSOSサインです。
青点滅:充電不足です。故障ではないので、まずは充電してください。
赤点滅:バッテリーのエラーです。交換が必要です。
オレンジ(黄色):温度異常です。寒すぎる場所や、使用直後の熱い状態では安全装置が働き充電できません。室温に戻せば回復します。- 自分で交換するとメーカー保証はなくなる?
純正バッテリーを使用する場合は、ユーザー自身での交換が認められており、保証は継続します。しかし、互換バッテリーを使用した場合は「改造」とみなされ、その後のメーカー保証(2年保証の残り期間など)は一切受けられなくなります。リスクを承知の上で行ってください。
まとめ
ダイソンのバッテリー交換は、正しい型番の把握と、適切な道具さえあれば5分で終わる簡単な作業です。
今回の記事のポイントを復習しましょう。
- 型番確認:「V〜」という名前だけでなく、バッテリー底面の「SV番号」を確認する。
- 道具選び:ネジなめ防止のため、必ず「PZ1(ポジドライブ)」ドライバーを使う。
- 製品選び:安心なら純正、コスパなら国内サポートのある互換品(Enelife等)。
- 廃棄方法:純正は量販店へ、互換品は自治体の指示や不用品回収業者へ。
「たかがネジ、たかがバッテリー」と思わず、安全第一で作業してくださいね。この記事が、あなたの愛機を復活させる手助けになれば嬉しいです。

