こんにちは。パワーツールラボ運営者の「TAKA」です。
DIYで棚を取り付けたり、屋外に防犯カメラやセンサーライトを固定したいとき、「このコンクリートの壁、手持ちのインパクトドライバーで穴が開けられないかな?」と考えることはありませんか?
わざわざ、たった数箇所の穴あけのために専用の振動ドリルを買うのはもったいないし、できれば今ある愛用の工具で済ませたいというのが本音ですよね。でも、無理に作業をして大切な工具を壊してしまったり、壁を割ってしまったりするのは絶対に避けたいところです。
実は、インパクトドライバーでのコンクリート穴あけは、条件次第で「できる場合」と「絶対にやってはいけない場合」にはっきりと分かれるんです。
この記事では、長年工具に触れてきた私の経験をもとに、以下のポイントを徹底解説します。
- インパクトドライバーで穴あけができる「3つの限定条件」
- 無理な作業をした場合に起こるモーター焼損などの重大リスク
- 振動ドリルやハンマードリルとインパクトドライバーの決定的な違い
- 安全に作業を行うための具体的な手順と専用ビットの選び方
インパクトドライバーでのコンクリート穴あけは可能か?

まず、皆さんが一番知りたい「インパクトドライバーでコンクリートに穴は開くのか?」という疑問に対して、単刀直入にお答えします。
私の答えは、「条件付きで『はい』。ただし、基本的にはおすすめしない」です。
いきなり煮え切らない答えですみません(笑)。でも、これが工具好きとして一番誠実な回答なんです。
なぜなら、プロの現場や本格的な硬いコンクリートに対しては「不可能」ですが、DIYレベルの柔らかい素材なら「なんとかいける」というグレーゾーンだからです。
結論は条件付きで可能だが非推奨
「インパクトドライバーで穴あけができる」と言えるのは、以下の3つの条件がすべて揃ったときだけだと考えてください。一つでも欠ければ、作業は失敗するか、工具が壊れます。
【インパクトで穴あけができる3つの条件】
- 対象の素材:「本物のコンクリート」ではなく、ブロックやモルタルであること
- 穴の大きさ:直径が5mm〜6mm程度の小径であること(プラグ用下穴など)
- 使用するビット:「インパクトドライバー対応」の専用コンクリートドリルビットを使うこと
これらを満たしていれば、ゆっくりとですが穴を開けることは可能です。しかし、あくまで「代用」であり、本来の使い方ではないため、工具への負担は非常に大きい作業になることを覚悟してください。
構造用コンクリートとモルタルの違いを見極める
DIY初心者が一番陥りやすい落とし穴が、「材質の誤解」です。実は、私たちが普段ひとくくりに「コンクリート」と呼んでいる壁には、明確な種類があります。
1. モルタル・コンクリートブロック(穴あけ:△ 可能)
家の外壁の化粧仕上げに使われる「モルタル」や、塀に使われる「コンクリートブロック」は、セメントと砂だけで作られていたり、空洞が多かったりするため、比較的柔らかいです。これらはインパクトドライバーでもなんとか歯が立ちます。
2. 本物のコンクリート(穴あけ:× 不可)
一方で、マンションの躯体(壁や床)、建物の基礎、ガレージの土間などに使われている「構造用コンクリート」は別物です。
これらには、強度を出すために硬い「砂利(骨材)」や、引張強度を高めるための「鉄筋」が内部に密に入っています。
ここにインパクトドライバーで挑むのは、プラスチックのスプーンで岩を掘ろうとするようなもの。砂利に当たった瞬間にドリルが進まなくなりますので、その場合は潔く諦める勇気も必要です。
プロの現場では専用工具の使い分けが常識
プロの職人さんは、絶対にインパクトドライバーでコンクリートに穴を開けようとはしません。なぜなら「餅は餅屋」で、コンクリートには「振動ドリル」や「ハンマードリル」という専用の道具があるからです。
それを無理やり「穴あけ」に使うのですから、それなりのリスクと覚悟が必要だということを、まずは押さえておいてくださいね。
振動ドリルとインパクトドライバーの決定的な違い

「同じようにガガガッと音がして回るんだから、一緒でしょ?」と思うかもしれませんが、実はこの2つ、力の加わり方(メカニズム)が真逆なんです。
回転方向の打撃と軸方向の振動は別物
ここが今回の記事で一番重要なポイントかもしれません。それぞれの工具が得意とする「力の方向」を理解しましょう。
| 工具の種類 | 打撃・振動の方向 | 主な役割 | コンクリート適正 |
|---|---|---|---|
| インパクトドライバー | 回転方向(横) | ネジを強力に締める | ×(条件付き△) |
| 振動ドリル | 軸方向(縦・微細) | 石材を細かく砕く | ○(DIY向き) |
| ハンマードリル | 軸方向(縦・打撃) | 石材を強力に叩く | ◎(プロ・本格作業) |
- インパクトドライバー:回転方向(横)に「コン、コン」と打撃を与えます。これはネジが固くて回らないときに、回転を助けるための力です。
- 振動ドリル・ハンマードリル:軸方向(縦)に「ダダダダ!」と振動・打撃を与えます。これは石をハンマーで叩くような力です。
コンクリートの破砕に必要な力のメカニズム
コンクリート穴あけは、「叩いて砕く(打撃)」と「削って掻き出す(回転)」の合わせ技で進んでいきます。
振動ドリルは、ドリルビットが前後に細かく振動することで、コンクリートの表面を粉々に砕きながら、同時に回転して粉を外に出すことで穴を開けます。だから、硬い石でもスムーズに穴が開くんです。
なぜインパクトでは石材に歯が立たないのか
一方でインパクトドライバーは、いくら「ガガガッ!」と音を立てても、それは回転方向に叩いているだけです。
「回転の抵抗に打ち勝つ」ための力であって、「石を砕く(縦方向の)」力ではないんですね。
例えるなら、釘を打つのにトンカチ(縦の力)を使わず、レンチ(回転の力)で回そうとしているような状態です。これではいつまで経っても穴が開かないどころか、道具自体が悲鳴を上げてしまいます。
無理な穴あけ作業が招く4つの重大リスク

「まあ、ちょっとくらい大丈夫でしょ」と軽い気持ちで作業を始めると、思わぬトラブルに見舞われます。私自身、過去にこれでビットを何本も無駄にしました…。
モーターからの発煙と焼損トラブル
【最大の危険】モーターが焼けます!
作業中に工具から「焦げ臭い匂い」がしたり、通気口から「白い煙」が出たりしたら、即座に作業を中止してください。それはモーターが焼損する直前のサインです。
硬い砂利に当たってビットがロック(停止)しているのに、無理に穴を開けようとしてトリガーを引き続けると、モーターには行き場を失った過大な電流が流れ続けます。
この過電流が熱に変わり、モーター内部のエナメル線を焼き切ってしまいます。インパクトドライバーの故障原因でトップクラスに多いのが、この「無理な連続作業による焼損」です。
電動工具の誤った使用による発熱や発火事故については、公的な機関からも注意喚起がなされています。異常を感じたら直ちに使用を中止することが重要です。
(出典:独立行政法人 製品評価技術基盤機構『製品安全・事故情報』)
衝撃によるビット破損と先端の噛み込み
インパクトドライバーの強力な回転打撃(インパクト)は、硬いコンクリートに食い込んで動かなくなったビットに対して、無理やり「ねじ切る」ような力を加えます。
この強烈なねじれに耐えきれず、ビットの先端や軸(シャンク)が「ポキッ」と折れてしまうことがよくあります。折れたビットが飛んでくると大変危険ですので、保護メガネの着用は必須です。
対象のブロックやタイルが割れる危険性
インパクトドライバーの打撃は制御が難しいため、ブロックの端っこ(角)や、玄関ポーチなどの薄いタイルに穴を開けようとすると、衝撃で素材そのものが「パリーン」と割れてしまうことがあります。繊細な作業には向いていないんです。
コンクリートブロックやモルタルへの穴あけ手順

リスクを十分に理解した上で、「それでもブロック塀に小さな穴を開けたい!」という方のために、私が実践している裏技的な手順をご紹介します。あくまで自己責任で、慎重にお願いしますね!
インパクトを作動させない低速回転が鉄則
これが最大のコツであり、矛盾しているようですが真実です。
「インパクトドライバーなのに、インパクト(打撃)させない」んです。
トリガーを全開に引くと、ガガガッ!と強力な打撃が始まってしまいます。これでは衝撃でビットが折れるだけです。トリガーを半分くらい、あるいはもっと浅く引き、「ウィーン…」という低速回転モードを維持してください。打撃を与えず、回転の力だけでじわじわと削っていくのが正解です。
センターポンチでの位置決めと滑り防止
コンクリートやモルタルの表面はザラザラしているようで、実は回転するドリルにとっては滑りやすいものです。いきなりドリルを当ててもツルッと滑って位置がずれてしまいます。
作業前に、穴を開けたい場所に「センターポンチ」や太めのコンクリート釘を当ててハンマーで軽く叩き、小さな傷(くぼみ)をつけておきましょう。このひと手間だけで、作業の安定感が段違いに良くなります。
粉塵をこまめに排出して摩擦熱を防ぐ
穴あけ中は、穴の中で削れた粉(切粉)が詰まります。粉が詰まったまま回し続けると、摩擦熱ですごい高温になり、ビットの先端チップが焼けて寿命を縮めます。
「5秒回したら、一度ビットを抜いて粉を出す」。
必須となる六角軸コンクリートドリルの選び方

道具選びも超重要です。ホームセンターで適当なドリルビットを買ってくると、そもそもインパクトドライバーに装着すらできない…なんてこともよくあります。
インパクト対応ビットと非対応品の見分け方
ホームセンターのドリル売り場に行くと、たくさんのビットが並んでいますが、必ずパッケージの裏面を確認してください。
購入時のチェックポイント
パッケージに「インパクトドライバー対応」「充電インパクト可」と明記されているものを選んでください。
「回転専用」「振動ドリル用」としか書かれていないものは、軸が折れやすいので避けたほうが無難です。
ストレートシャンクやSDSプラスは装着不可
インパクトドライバーの先端(スリーブ)に装着できるのは、「6.35mm六角軸」という規格だけです。
- ストレートシャンク(丸軸):普通の電気ドリル用。装着できません。
- SDSプラスシャンク(溝付き):ハンマードリル用。装着できません。
間違ってこれらを買わないように注意してくださいね。
超硬チップ付きの専用刃を選ぶ重要性
ビットの先端に「超硬チップ」という、非常に硬い金属(タングステンカーバイドなど)が埋め込まれているものを選びましょう。
木工用や鉄工用のドリルをコンクリートに使ったらどうなるか?…一瞬で刃先が丸くなって、ただの鉄の棒になります(経験者は語る…)。必ず「コンクリート用」「ブロック用」と書かれたものを使用してください。
100均やダイソーのドリルビットは使えるか

最近は100円ショップ(ダイソーやセリアなど)でも工具コーナーが充実していますよね。「ダイソーの300円ビットでもいける?」と聞かれることがありますが、私の見解をお話しします。
簡易的なビットの耐久性と作業の限界
結論から言うと、モルタルや柔らかいブロックに数箇所(2〜3個)、小径の穴を開ける程度なら「使えなくはない」です。
ただし、耐久性はメーカー品(ユニカやSK11など)に比べて明らかに低いです。先端のチップがすぐに摩耗したり、軸が曲がったりしやすいので、一本のビットで何十個も穴を開けようとは思わないほうがいいですね。
アタッチメント利用時の軸ブレに注意
100均のビットは、軸(シャンク)の作りが甘いことがあり、回転させると先端が「ブルブル」と大きくブレることがあります。精密な位置に穴を開けたい場合、このブレは致命的です。
本格的な作業には専用メーカー品を推奨
もし、「重い棚受けをしっかり固定したい」「失敗したくない」というのであれば、数百円の違いなので、ホームセンターでちゃんとした工具メーカーのビットを買うことを強くおすすめします。
「ユニカ(unika)」のRJタイプなどが定番ですね。切れ味と作業の進み具合が全然違いますよ。
マキタ4モードインパクトならコンクリートも可能?

ここで少しマニアックな話を。マキタのインパクトドライバーには、「TP141D」などの「4モードインパクトドライバー」という機種があります。これ、実は私も愛用しているんですが、ちょっと特殊な機能を持っています。
振動機能付きモデルTP141D等の特徴
この機種は、普通の「インパクトモード」に加えて、「ドリルモード」「ネジ締めモード」、そしてなんと「振動ドリルモード」が搭載されています。
スイッチ一つで切り替えられるので、一見すると「これ一台で最強じゃん!」と思いますよね。
ノープラグビス施工における下穴あけの利便性
確かに、3.5mm〜4mm程度の細い下穴をモルタルに開けるなら、この振動モードは非常に便利です。
「振動モード」で穴を開けて、そのまま「インパクトモード」に切り替えてコンクリートビス(ノープラグビス)を締め込む。この一連の作業が、ビット交換なしで一台で完結するのは大きなメリットです。
あくまでモルタル用でありハンマードリルではない
ただ、勘違いしてはいけないのが、「本物のハンマードリルほどのパワーはない」ということ。
あくまで「簡易的な振動機能」がついているだけなので、硬いコンクリートや、10mmを超えるような大きな穴あけにはやっぱり力不足です。「おまけ機能としては超優秀」くらいに考えておくのが正解ですね。
失敗回避に振動ドリルやハンマードリルを使う

ここまで「インパクトでも頑張ればなんとかなる」という話をしてきましたが、正直なところ、専用工具を使ったほうが100倍楽ですし、安全です。
DIYレベルでも安価な振動ドリルを推す理由
ホームセンターのPB(プライベートブランド)商品や、DIY向けのエントリーモデル(リョービやボッシュなど)なら、コード式の振動ドリルは5,000円〜1万円程度で手に入ります。
「苦労してインパクトで時間をかけて、結局ビットを折って買い直す」コストと手間を考えたら、一台安価な振動ドリルを持っておいても損はないかなと思います。木工や鉄工の穴あけにも使えますからね。
圧倒的に楽で速いハンマードリルの威力
もし予算が許すなら、あるいは本格的なコンクリート床などに穴を開けるなら「ハンマードリル」一択です。
インパクトドライバーだと全身全霊で体重をかけて押し付けても開かなかった穴が、ハンマードリルなら「あれ、豆腐かな?」と思うくらいスルスル入っていきます。あの感動はぜひ一度味わってほしいですね。
レンタル工具を活用して安全に作業する
「一回しか使わないのに新しい工具を買うのはちょっと…」という方は、ホームセンターの工具レンタルサービスを利用するのも賢い手です。
プロ用の高性能なハンマードリルが、一泊二日で数百円〜千円程度で借りられることもあります。無理せずそちらを利用するのも、賢いDIYの選択肢ですよ。
インパクトの穴あけに関するよくある質問

最後に、インパクトドライバーでの穴あけについて、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。
普通のドリルドライバーでも穴あけできますか?
はい、実はモルタルやブロックなど柔らかい素材であれば、インパクトドライバーよりもむしろ「ドリルドライバー(回転のみ)」の方が向いている場合もあります。
インパクトのような打撃がないため、ブロックを割ってしまうリスクが少ないからです。ただし、やはり「コンクリート用ビット」は必須ですし、時間はかかります。
穴あけ中に煙が出たり焦げ臭い時はどうする?
すぐに作業を中止して、工具を休ませてください!
それはモーターが過熱している危険な状態です。そのまま続けると確実に故障します。また、煙が出るということはビットの刃先が摩耗して切れなくなっている可能性が高いです。新しいビットに交換するか、専用工具への切り替えを検討してください。
カールプラグ用の下穴サイズはどう決める?
基本的には「プラグのパッケージに書いてある指定ドリル径」と同じサイズのドリルを使います。
例えば「6mmプラグ」なら「6mmのドリル」です。ただし、柔らかいモルタルなどの場合、穴が広がりすぎてプラグが空回りしてしまうことがあります。心配な場合は、指定より0.5mmほど小さいドリルで下穴を開けて様子を見るのもテクニックの一つです。
まとめ:インパクトドライバーでのコンクリート穴あけ

インパクトドライバーでのコンクリート穴あけについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
- インパクトドライバーでの穴あけは、「モルタル・ブロック」「小径」「専用ビット」の3条件が揃えば可能。
- ただし、回転方向の打撃しかないので効率は悪く、無理をするとモーター焼損のリスクが高い。
- コツは「インパクトさせない低速回転」でじっくり削ること。
- 硬いコンクリートや数が多い場合は、迷わず振動ドリルやハンマードリルを使うのが正解。
手持ちの道具で工夫するのもDIYの醍醐味ですが、無理をして工具を壊してしまっては元も子もありません。「いけそうかな?」と試してみて、ダメそうなら無理せず専用工具に頼る。その見極めが、DIY上級者への第一歩かなと思います。
ちなみに、マキタはインパクトドライバーだけでなく、掃除機も非常に人気があります。「なぜ工事現場の掃除機が家庭でこんなに人気なの?」と気になった方は、ぜひこちらの記事もチェックしてみてくださいね。

安全に気をつけて、快適なDIYライフを楽しんでくださいね!

