マキタ草刈機ナイロンコード交換方法|モデル別に手順を解説

マキタの充電式草刈機を愛用されている中で、「ナイロンコードの交換方法が思ったより難しい」「自分の持っているモデルに合う正しい手順が知りたい」と感じた経験はありませんか。

マキタのナイロンカッターは非常に多彩で、長年プロに信頼される伝統的なウルトラオート4・ウルトラメタルローラ4・タップ式ナイロンカッタ4から、利便性を劇的に向上させた革新的な楽巻きナイロンコードカッタ、シンプルさを追求したらいと、そして作業効率を極限まで高めたプロ仕様のフリーローラー付4本出しカッタまで、多岐にわたる選択肢があります。

そのため、お使いの機種に最適な交換方法を知らないと、思わぬ時間ロスや作業トラブルにつながることも少なくありません。また、草刈機本体も、絶大な人気を誇る万能機MUR190UDZ、驚くほど軽量なMUR100D、エンジン式を凌駕するパワーを持つMUR368ADG2など、それぞれの特性は大きく異なります。

この記事では、各ナイロンカッターモデルの詳細な交換手順を徹底的に掘り下げるとともに、安全に、そしてスムーズに作業を終えるための交換時のポイントを専門的な視点から詳しく解説していきます。

記事のポイント
  • 3つの方式別にナイロンコードの交換手順がわかる
  • モデルごとの特徴とメリット・デメリットを把握できる
  • 安全に作業するための重要な注意点が理解できる
  • 自分の用途に最適なナイロンカッターを選べるようになる

目次

3つのタイプ別マキタ草刈機ナイロンコード交換方法

  • ナイロンコード交換時の、ポイントと注意点
  • 分解して巻くウルトラオート4・ウルトラメタルローラ4・タップ式ナイロンカッタ4
  • 分解不要の楽巻きナイロンコードカッタ
  • 差し込むだけの「らいと」の交換手順
  • フリーローラー付4本出しカッタの交換方法

ナイロンコード交換時の、ポイントと注意点

ナイロンコードを交換する作業は、一見すると単純に思えるかもしれません。しかし、安全確保と作業効率の両面から、すべてのモデルに共通していくつかの非常に重要な基本原則が存在します。これらのポイントを確実に理解し実践することで、予期せぬトラブルを未然に防ぎ、草刈り作業全体の生産性を向上させることができます。

【最重要】作業前の電源遮断という絶対ルール

ナイロンコードの交換作業を始める前に、何よりも優先すべきは、草刈機のスイッチを切り、電源を完全に遮断することです。充電式の場合は本体からバッテリーを取り外し、AC電源式の場合はコンセントからプラグを抜いてください。この「物理的な電源遮断」が極めて重要になります。スイッチを切っただけでは、何かの拍子にスイッチが入ったり、電気系統の不具合で誤作動したりする可能性がゼロではないからです。実際に、機械の保守・点検作業中の誤作動による労働災害は後を絶ちません。厚生労働省も、機械の保守点検等作業における労働災害防止を強く呼びかけています。この一手間を「面倒」と思わず、自分自身の安全を守るための絶対的なルールとして徹底してください。(参考:厚生労働省「機械の保守点検等作業における労働災害防止」

ナイロンコードの選定と取り扱い

ナイロンコードは、草刈りの品質を左右する重要な消耗品です。まず、お使いのナイロンカッターの取扱説明書を必ず確認し、メーカーが指定する適合コード径(太さ)の範囲内でコードを選びましょう。適合範囲外の太いコードを使用すると、モーターに過大な負荷がかかり、バッテリーの消耗が早まったり、最悪の場合は故障につながったりする恐れがあります。逆に細すぎると、硬い草に当たった際に切れやすく、交換の手間ばかりが増えてしまいます。

さらに、コードの「断面形状」にも注目すると、より作業が快適になります。

ナイロンコードの断面形状による特徴の違い

スクロールできます
断面形状特徴メリットデメリット
丸型最も標準的で入手しやすいタイプ。・あらゆる草に対応できる汎用性
・耐久性が高く切れにくい
・価格が比較的安い
・切れ味がややマイルド
・風切り音が大きい傾向
角型(四角・三角など)断面に角があることで、草を叩き切る効果が高い。・切れ味が非常にシャープ
・硬い雑草も効率よく刈れる
・角が摩耗しやすい
・障害物に当たると欠けやすい
ツイスト型(ひねり)コードにひねりを加えた形状。・風切り音が静かで住宅地でも使いやすい
・空気抵抗が少なく燃費(電費)が良い
・切れ味は丸型と角型の中間
・価格が比較的高め

このように、静音性を重視するならツイスト型、切れ味を求めるなら角型と、作業環境や草の種類によって使い分けるのがおすすめです。

また、ナイロンコードの材質は湿気を吸収することで柔軟性を保つ性質があります。長期間保管して乾燥し、硬くパキパキになったコードは非常に切れやすくなっています。もし硬化してしまった場合は、作業の前日に一晩バケツの水に浸しておくだけで、見違えるほどしなやかさが戻り、扱いやすく長持ちするようになります。

トラブルシューティング:コードの癒着と絡まり

特にボビンにコードを巻き付けるタイプで頻発するのが、使用中にコードが内部で熱によって溶けて固着してしまう「癒着」現象です。これは、高速回転するコードとカッター内部との摩擦熱が主な原因となります。このトラブルを回避するためには、コードをボビンに巻き付ける際に、常にピンと張った状態を保ち、隙間なく均一なテンションで「強く」巻き付けることが何よりも重要です。巻き付けが緩いと、コード同士が振動でこすれ合って不要な熱を発生させ、癒着や内部での絡まりといったトラブルを引き起こしやすくなります。推奨される巻き付け長さ(多くのモデルで2.5m〜4m程度)を守ることも、内部での過密状態を防ぎ、トラブル回避につながります。


分解して巻くウルトラオート4・ウルトラメタルローラ4・タップ式ナイロンカッタ4

このグループは、ナイロンカッターのヘッド部分を一度分解し、内部にある「ボビン(スプール)」と呼ばれる糸巻きに、手で直接ナイロンコードを巻き付ける、最も伝統的な交換方式です。一般的に「ボビン分解巻き付け方式」として知られ、その構造は非常にシンプルです。余計な機構がないため、物理的な堅牢性が高く、長年の使用にも耐えうる信頼性が最大のメリットです。

一方で、その交換作業には多少の手間と経験が求められます。特に、コシが強く弾力性に富んだナイロンコードを、緩まないように均一な力でしっかりと巻き付けていく作業は、初めての方や不慣れな方にとっては少し難しく、時間がかかるかもしれません。しかし、この基本的な構造を一度マスターしてしまえば、どんな状況でも確実に対応できるという安心感があります。

このタイプは、少し手間がかかるクラシックな方式ですが、その分、構造を深く理解でき、愛着が湧くモデルとも言えます。焦らず、ひとつひとつの工程を丁寧に行うことが、結果的にスムーズな作業につながりますよ。

交換手順の詳細

1. カバーの取り外し
まず、ナイロンカッター本体の側面にある、対になった「爪(またはくぼみ)」を探します。この爪を両側から指で強く押し込みながら、カバー部分を引き抜くようにして外します。モデルによっては爪が固い場合がありますが、その際はマイナスドライバーなどを慎重に使い、てこの原理で少しずつこじ開けると良いでしょう。内部には金属製のスプリングが内蔵されていることが多いため、カバーが勢いよく飛び出さないように、もう片方の手でカバーをしっかりと押さえながら作業を進めてください。

2. ボビンの取り出しと清掃
カバーが外れると、中心部にボビンが見えます。これをまっすぐ上に引き抜いて取り出します。このとき、ボビンの上下や内部に刈り取った草のクズや土が溜まっていることがよくあります。古いコードをすべて完全に取り除くと同時に、使い古しの歯ブラシなどを使って、これらの汚れをきれいに掃除しておきましょう。この清掃作業が、後のトラブルを防ぐ重要なメンテナンスとなります。

3. コードの準備と固定
新しいナイロンコードを適切な長さ(ウルトラオート4の場合、約2.5mが推奨されています)にカットし、正確に半分に折り曲げます。この際、片方のコードの端をもう一方より10cm〜12cmほど長くずらしておくと、巻き終わりの処理が格段にしやすくなります。U字状に折った中心部分を、ボビン中央の仕切り壁にある溝(切り欠き)に奥まで確実に引っ掛け、固定します。

4. ボビンへの巻き付け
ボビンの側面に刻印されている矢印(巻き付け方向を示す)を必ず確認し、その方向に沿って2本のコードを巻き付けていきます。多くの場合、上段と下段の溝に1本ずつ、コードが互いに重ならないように巻いていきます。この工程が最も重要で、親指でコードを強く押さえつけながら、常にテンションをかけた状態で、隙間なく、そしてきれいに整列させながら巻き進めるのが成功の鍵です。

5. 先端の仮固定と組み立て
コードの先端をそれぞれ10cmほど残した状態で、ボビンの縁にある切り欠き(コードクリップ)に挟み込み、巻き付けたコードがほどけないように仮固定します。次に、コードを巻いたボビンを本体ケースに戻し、仮固定していたコードの先端をクリップから外し、本体のコード排出口(金属製のアイレット)に内側から外側へ向かってそれぞれ通します。

6. カバーの取り付けと最終確認
最後に、スプリングが正しい位置にあることを確認しながら、カバーをはめ込みます。本体の爪とカバーの溝が合う位置で、両手で均等に力を加え、「カチッ」という確かな手応えがあるまでしっかりと押し込みます。装着後、手でローター(カッター下部)を軽く左右に回してみて、コードがスムーズに繰り出されるか、引っかかりがないかを確認すれば、すべての作業は完了です。


分解不要の楽巻きナイロンコードカッタ

本体装着・楽巻き方式」を採用したこのモデルは、ナイロンコード交換の常識を覆した、まさに革新的な製品です。その最大の特徴は、製品名が示す通り、草刈機からナイロンカッターを取り外したり、カバーを分解したりすることなく、驚くほど簡単にコードを巻き取れる点にあります。従来のボビン分解方式が抱えていた「手間と時間がかかる」「手が汚れる」といったユーザーの悩みを根本から解決するために開発されました。

そのため、工具の扱いに不慣れな初心者の方、女性やシニアの方、そして何よりも現場での作業効率を重視し、ダウンタイムを最小限に抑えたいプロユーザーから絶大な支持を得ています。

楽巻きナイロンコードカッタがもたらす圧倒的なメリット

このモデルの最大の利点は、「誰でも」「いつでも」「どこでも」簡単かつ迅速に交換作業を完了できる圧倒的な利便性です。作業中にコードがなくなっても、わずかな時間で補充が完了するため、作業の流れを止めることがありません。これにより、草刈り作業全体の時間短縮と、精神的なストレスの軽減に大きく貢献します。

交換手順の詳細

1. 準備と位置合わせ
まず、カッター内部に残っている古いナイロンコードを、両側から完全に引き抜いて空の状態にします。次に、カッター本体の側面にある2つのコード差し込み口(穴)が、カッターを貫通する一直線上に来るように位置を合わせる必要があります。多くのモデルでは、本体上部に刻印された▽マークと、側面にある差し込み口のガイドマークを合わせることで、正しい位置に設定できます。

2. コードの挿入
新しいナイロンコード(推奨長さは3m〜4m程度)を用意します。コードの先端がささくれていたり、曲がっていたりすると挿入しにくいため、ハサミやカッターで先端を鋭角に、まっすぐカットしておくとスムーズです。カットした先端を、片方の差し込み口から、反対側の穴の出口に向かってまっすぐに「スルスル」と押し込んでいきます。

3. 長さの均等化
コードを押し込んでいくと、やがて反対側の穴から先端が出てきます。その先端をつまみ、両側から出ているコードの長さがちょうど同じになるように引っ張って調整します。この段階で長さが大きく異なっていると、巻き取った後の回転バランスが崩れ、異常振動の原因となる可能性があるため、正確に中央で合わせることが重要です。

4. 巻き取り作業
いよいよ巻き取りです。本体中央にある大きなノブ(ダイヤル状のつまみ)を、本体に刻印された矢印の方向に、クルクルと回し続けます。すると、内部のギア機構が作動し、外部に出ている2本のコードが自動的に内部のボビンへと巻き取られていきます。特別な力は一切必要なく、非常に軽い力でスムーズに巻き取ることが可能です。

5. 完了
両側のコードの先端が、草刈り作業に適した長さ(一般的に10cm〜15cm程度)になったら、ノブを回すのを止めます。たったこれだけで、すべての交換作業は完了です。その手軽さと速さは、一度体験すると元に戻れないほどの快適さです。


差し込むだけの「らいと」の交換手順

「らいと」は、その名の通り、軽量さとシンプルな操作性を極限まで追求したナイロンカッターです。このモデルは、コードの巻き付けという概念そのものを排除した、非常にユニークな「差し込み・固定方式」を採用しています。あらかじめ適切な長さにカットしておいたナイロンコードを、指定された穴に通して簡易的に固定するだけで交換が完了するため、直感的で分かりやすいのが特徴です。

複雑な機構を持たないため、本体が非常に軽量で、故障のリスクが少ないという大きなメリットがあります。ただし、一度にセットできるコードの長さが比較的短いため、交換の頻度は他の巻き取り式タイプに比べて高くなる傾向にあります。庭の隅やフェンス際など、短時間の作業をこまめに行う用途に適しています。

交換手順の詳細

1. コードの準備と古いコードの除去
まず、新しいナイロンコードを1mから1.5mほどの長さにカットしておきます。次に、カッターに装着されている古いコードを、固定部から完全に引き抜いて取り除きます。長期間使用していると、固定部分でコードが硬化して抜きにくい場合がありますが、その際はペンチなどを使って引き抜いてください。

2. コードの固定(このモデル最大の特徴)
「らいと」の固定方法は非常に独特です。本体にはコードを通すための穴が2つペアで設けられています。まず、コードの片方の端を、ペアになっている穴のうち下側(または内側)の穴に裏から表へ通します。次に、表に出てきたコードの先端を、すぐ隣の上側(または外側)の穴に表から裏へ1cmほど通します。こうすることで、コード自体がストッパーの役割を果たし、遠心力がかかっても抜けないようにロックされる仕組みです。反対側も同様の手順で、もう1本のコードを固定してください。

3. 巻き付けと調整
2本のコードがしっかりと固定されたことを確認したら、それぞれのコードを中央にある円柱状のドラム部分の外側に沿わせるように巻き付けていきます。そして、本体側面にあるコードの出口から、2本の先端を外に出します。最後に、外に出ている両方のコードの長さが均等になるように、先端を引っ張って微調整すれば、すべての作業は完了です。


フリーローラー付4本出しカッタの交換方法

このモデルは、プロフェッショナルな現場の要求に応えるために設計された、究極の「差し替え式」カッターです。作業効率を何よりも優先し、交換にかかる時間を秒単位で短縮することを目指しています。コードの巻き付け作業は一切不要。あらかじめ30cm程度にカットしておいたコードを、工具なしで瞬時に差し替えるだけで、すぐに作業を再開できるのが最大の特徴です。

また、4本のコードが同時に回転することで生み出される圧倒的な粉砕力と、地面を滑らせるように作業できるフリーローラーによる疲労軽減効果も、プロユーザーから高く評価されています。

差し替え式の唯一の注意点:コードの事前準備

交換作業自体は驚くほど簡単ですが、その分コードの消費スピードは速くなります。特に広範囲の作業や硬い草を相手にする場合は、作業効率を落とさないためにも、あらかじめ交換用のコードを複数本(30cmの長さに正確にカットしたもの)準備して、すぐに取り出せるようにしておくことが、このカッターを使いこなす上での重要なポイントになります。

交換手順の詳細

1. 準備と古いコードの除去
交換用として、30cmにカットしたナイロンコードを2本用意します。(4本出しなので、2本のコードを中央で固定する形になります)。次に、カッターの中央部分にある「スライドストッパー(ボタン状またはレバー状の部品)」を指で強く押し込みます。このストッパーを押し込むことで、内部でコードを固定しているロックが解除されます。ストッパーを押したままの状態で、摩耗した古いコードをまっすぐ引き抜きます。

2. 新しいコードの挿入
スライドストッパーを押し込んだ状態を維持したまま、新しいコードの先端を用意した差し込み口にスムーズに挿入します。コードが内部のトンネルを通過し、反対側の出口から出てくるまで押し込みます。このとき、コードの先端を少し斜めにカットしておくと、より挿入しやすくなります。

3. 長さの調整と完了
コードが貫通したら、両側の出口から出ている長さが均等(中央から各15cm程度)になるように調整します。もう1本のコードも同様に、別の差し込み口から挿入し、長さを均等に調整します。最終的に、外に出ている4本のコードの長さがすべて同じになるように微調整してください。最後に、押し込んでいたスライドストッパーから指を離すと、内部の機構が作動して4本のコードがガッチリと固定されます。これで瞬時に交換は完了です。このモデルは、状況に応じて2本出し(コード1本を貫通させる)でも使用可能ですが、最大の草刈り能力を発揮するためには、4本出しでの使用が推奨されます。機種別おすすめマキタ草刈機とナイロンコード交換方法

機種別おすすめマキタ草刈機とナイロンコード交換方法

  • 万能機MUR190UDZに合う交換方式
  • 軽量なMUR100Dにおすすめの交換方式
  • ハイパワーなMUR368ADG2とコード
  • 基本的なナイロンコード交換方法の選び方

万能機MUR190UDZに合う交換方式

MUR190UDZは、マキタの18Vリチウムイオンバッテリーシリーズの中核をなすモデルであり、パワー、長時間の連続稼働能力、そして導入しやすい価格設定という、三つの要素が非常に高いレベルで調和した万能機です。その汎用性の高さから、個人の庭の手入れからセミプロの軽作業まで、幅広いユーザー層に「これを選べばまず間違いない」と絶大な信頼を寄せられています。

このモデルは、パワフルなブラシレスモーターを搭載しており、十分なトルクを発生させるため、基本的にマキタが提供するほとんどのナイロンカッターを問題なく使用できる懐の深さを持っています。だからこそ、「どのカッターを選ぶか」が、MUR190UDZのポテンシャルを最大限に引き出す鍵となります。最新の製品情報については、株式会社マキタの公式サイトで詳細なスペックを確認することをおすすめします。

MUR190UDZをお持ちで、まだどのナイロンカッターを使うか迷っているなら、まずは「楽巻きナイロンコードカッタ」から試してみてはいかがでしょうか。草刈機本体が持つ「誰にでも扱いやすい」という優れたコンセプトと、カッターの「圧倒的な手軽さ」が、最高の相乗効果を生み出してくれるはずです。

具体的にユーザータイプ別に見ていくと、もしあなたが「とにかく面倒なことは避け、手軽さと快適さを最優先したい」という考えであれば、分解不要の「楽巻きナイロンコードカッタ」が最適なパートナーになります。作業中にコードが切れても、わずか1〜2分で交換が完了するため、作業の流れを一切妨げず、ストレスフリーな草刈りを実現できます。

一方で、「初期投資は抑えつつ、ランニングコストと長期間使える信頼性を重視したい」という堅実な考えをお持ちであれば、伝統的な「ウルトラオート4」などのボビン分解方式が非常に良い選択肢となります。交換作業には慣れが必要ですが、一度その手順とコツをマスターしてしまえば、ナイロンコードの長さを自由に調整できたり、安価なバルク品のコードを使用できたりと、経済的なメリットは大きくなります。


軽量なMUR100Dにおすすめの交換方式

MUR100Dは、10.8Vスライド式バッテリーを採用したモデルで、その最大の魅力はバッテリーを含めても2kgを切るという、驚異的な軽さにあります。「まるで箒を扱うような感覚」とも評されるほどで、体力に自信のない女性やシニアの方、あるいは壁際や植木の周りなど、ちょっとしたエリアの手入れを手軽に行いたい方に絶大な人気を誇るモデルです。

このモデルは、ハイパワーを追求するのではなく、あくまでも「手軽さ」と「扱いやすさ」を最優先して設計されています。そのため、ナイロンカッターの選定においては、その設計思想を理解し、モーターに過度な負荷をかけない選択が求められます。

MUR100Dの軽さを活かすカッター選び

このモデルには、構造がシンプルで軽量な「らいと」や、標準で付属している樹脂刃に近い感覚で使える、小型の差し込み式ナイロンカッターが最適です。これらの軽量なカッターは、回転時の抵抗が少なく、10.8Vのモーターパワーを効率よく草の切断に使うことができます。また、機械全体の重量バランスを崩すことがなく、MUR100Dが持つ最大の武器である「軽快さ」を一切損なうことがありません。

逆に、「フリーローラー付4本出しカッタ」のような大型で重量があり、回転抵抗の大きいカッターは、このモデルには不向きです。無理に取り付けると、モーターに常に高負荷がかかり、バッテリーの消耗が極端に早くなるだけでなく、機械本体の寿命を縮めてしまう原因にもなりかねません。草刈機本体の特性を深く理解し、それに寄り添ったナイロンカッターを選ぶことが、快適な作業と機械との長い付き合いを実現する秘訣です。


ハイパワーなMUR368ADG2とコード

MUR368ADG2は、マキタの誇る18Vバッテリーを2本直列に接続することで、36Vという高電圧を実現した、プロ向けのハイパワーモデルです。そのパワーは、一般的な25ccクラスのエンジン式草刈機に匹敵、あるいはそれを凌駕すると言われており、密集して生い茂った太い雑草や、厄介な笹薮ですら、ものともせずに刈り進めることが可能です。

この圧倒的なパワーを無駄なく地面に伝え、最大限の作業効率を発揮させるためには、ナイロンカッターと、そこに装着するナイロンコードの選定が極めて重要になります。

このクラスの草刈機に最も推奨されるのは、耐久性と作業効率の両面で最高レベルの性能を持つ「フリーローラー付4本出しカッタ」や、金属部品を多用し堅牢性を高めた「ウルトラメタルローラ4」です。これらのカッターは、MUR368ADG2が発生させる強力なトルクを確実に受け止め、4本のコードによる強力な打撃力で、効率的に草を粉砕していきます。ナイロンコードも、そのパワーに見合った高性能なものを選ぶべきです。切れ味と耐久性を両立させた角型ツイストタイプや、物理的な強度に優れる2.5mm以上の太径コードを選択することで、コードの消耗を抑えつつ、機械の性能を100%引き出すことができるでしょう。

プロ機ならではの先進機能

MUR368ADG2のようなプロ向けモデルには、作業の安全性と快適性を高めるための先進機能が搭載されています。例えば、キックバック(刃が硬い障害物に当たって跳ね返る現象)を検知すると瞬時にモーターを停止させるAFT(アクティブフィードバックセンシング技術)や、草が絡まった際にスイッチ操作一つで刃を逆回転させ、絡まりを簡単に除去できるカラミトリ機能などです。これらの機能も、プロの厳しい現場でマキタが選ばれる理由の一つです。

もちろん、「楽巻きナイロンコードカッタ」も使用可能ですが、一日中作業を行うプロの現場で、何度もコード交換が必要になる状況を想定すると、より迅速に交換作業が完了する差し替え式の「フリーローラー付4本出しカッタ」に軍配が上がると言えるでしょう。


基本的なナイロンコード交換方法の選び方

ここまで、3つの主要な交換方式と、代表的な草刈機との相性を詳しく見てきました。情報が多くて少し混乱してしまった方のために、最後に、あなたがどのタイプのナイロンカッターを選ぶべきか、ご自身の目的やスキルレベルに合わせて直感的に判断できる比較表をご用意しました。

この選び方を参考に、あなたの草刈りスタイルを最も快適にしてくれる、最適なナイロンカッターを見つけてください。

スクロールできます
交換方式主なモデルメリットデメリット主な用途・ユーザー像
ボビン分解
巻き付け方式
ウルトラオート4
タップ式ナイロンカッタ4
ウルトラメタルローラ4
・構造が堅牢で信頼性が非常に高い
・安価なコードが使え経済的
・コードの長さを微調整しやすい
・交換に手間と慣れ、時間がかかる
・巻き方が悪いとトラブルの原因に
・手が汚れやすい
・道具のメンテナンスが好きな方
・ランニングコストを最重視する方
・DIY経験が豊富で作業に慣れている方
本体装着
楽巻き方式
楽巻きナイロンコードカッタ・交換作業が圧倒的に簡単で速い
・カッター本体の分解が一切不要
・初心者でも失敗なく交換できる
・構造が他のタイプよりやや複雑
・本体価格が比較的高価
・極端な太径コードには非対応
・草刈り初心者、女性、シニアの方
・作業の手軽さや時間短縮を求める方
・複数の場所で頻繁に作業する方
差し込み・
差し替え方式
らいと
フリーローラー付4本出しカッタ
・交換作業が直感的で最も速い
・構造がシンプルで軽量、丈夫
・ダウンタイムを最小化できる
・コードの交換頻度が最も高い
・作業前にコードの準備が必須
・一度に使えるコード長が短い
・作業効率を最優先するプロユーザー
・短時間の作業を頻繁に行う方
・石や障害物が多い場所での作業

マキタ草刈機ナイロンコード交換方法の総まとめ

まとめ
  • ナイロンコード交換前は必ずバッテリーを外すなど電源を物理的に遮断する
  • 交換方式は主に「ボビン分解」「楽巻き」「差し込み」の3種類が存在する
  • ボビン分解式は信頼性と経済性に優れるが交換には手間と慣れが必要
  • ウルトラオート4など分解式はコードを強く均一に巻くのが最大のコツ
  • 楽巻きナイロンコードカッタは分解不要で初心者でも失敗なく簡単に交換可能
  • らいとはカット済みのコードを差し込んで固定する軽量シンプルな方式
  • フリーローラー付4本出しカッタはプロの効率を最大化する超高速差し替え式
  • コード内部での癒着を防ぐには巻き付け時の強いテンションが不可欠
  • 万能機のMUR190UDZはパワーと汎用性に優れどのカッターとも相性が良い
  • 手軽さ重視ならMUR190UDZに楽巻きナイロンコードカッタの組み合わせが最適
  • 軽量なMUR100Dにはモーター負荷の少ない「らいと」などの軽量カッターを選ぶ
  • ハイパワー機MUR368ADG2は4本出しカッタや太径コードで真価を発揮する
  • 手軽さを最優先するなら「楽巻き」、交換速度を最優先するなら「差し替え式」がおすすめ
  • コストパフォーマンスと信頼性を重視するなら伝統的な「ボビン分解式」が適している
  • ご自身の作業スタイル、使用機種、重視するポイントに合わせて最適な交換方法を選択することが大切
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